2023年8月末にStable Diffusion WebUI AUTOMATIC1111がリファイナーに対応したバージョン1.6.0にアップデートされました。ここでは、アップデートの方法を解説し、アップデートのポイントを確認してみます。
アップデートの方法
stable-diffusion-webuiのフォルダを「ターミナル」や「PowerShell」などのCLIで開きます。Windwos11の方はフォルダをシフトキーを押しながら右クリックで「ターミナルで開く」や「PowerShellウインドウをここで開く」を選択すると簡単です。(CLI操作の参考:Windowsのターミナル、PowerShell、コマンドプロンプトなどのCLIの最低限の使い方)

そこで以下のようにコマンドを入力します。このコマンドでオンラインからWebUI AUTOMATIC1111の最新のブランチを取得して、書き換えてくれます。自分でセットアップしたモデルや生成画像、拡張機能などには影響しません。
git pull
コマンドを入力すると、ファイル更新の表示が出ます。更新が終わったら通常通り起動します。起動時の表示でVersionが「v1.6.0」となっていたらアップデートできています。
venv "E:\stable-diffusion-webui\venv\Scripts\Python.exe"
Python 3.10.8 (tags/v3.10.8:aaaf517, Oct 11 2022, 16:50:30) [MSC v.1933 64 bit (AMD64)]
Version: v1.6.0
Commit hash: 5ef669de080814067961f28357256e8fe27544f4
v1.6.0での主な変更点
WebUIのv1.6.0の主な変更点を確認していきます。非常に多くの変更点がありますが、その中から私が特に気になったものをピックアップしてみます。
リファイナーのサポート
SDXLの公式モデルで採用されているRefiner(リファイナー)をサポートできるようになりました。これによりSDXLの性能を最大限に発揮できるようになります。

本来の使い方とは違うかもしれませんが、v1.5系でも途中でモデルをスイッチするような使い方で面白い画像ができるかもしれません。
スタイルエディターの追加
お気に入りのプロンプトを保存しておけるスタイルにエディターが実装されました。これまではjsonファイルを直接いじるしかなったと思うのですが、スタイルの新規作成や更新が簡単にできるようになりました。また、スタイルは選択しておけば適用されるので、プロンプト内に記述されなくなりました。


下記の例ではスタイルを設定することで、プロンプト欄はシンプルですが、しっかりスタイルに入力したプロンプトが適用されているのが分かります。スタイルはADitailerなどの拡張機能にも影響するようなので、注意が必要です。

SDXL用の起動時フラグを追加
SDXLは画像サイズはデフォルトの画像サイズは1024×1024なので、VRAMが12GB未満のGPUを使用している場合は、VRAM使用量を低減するフラグの「medvram」で起動する必要がありました。今回、新しく「medvram-sdxl」のフラグが追加され、SDXLのモデルを使うときだけmedvramが有効になるようにできます。私の使っているPCのGPUはNVIDIA RTX3080(10GB)なので、通常の設定でSDXLの1024×1024では「OutOfMemoryError」となります。下記の設定で起動しなおすことなく、SDXLを使うことができます。
@echo off
set PYTHON=
set GIT=
set VENV_DIR=
set COMMANDLINE_ARGS= --no-half-vae --opt-channelslast --autolaunch --xformers --medvram-sdxl
call webui.bat
Samplerの追加
サンプラーが大量に追加されています。私はこれまで「DPM++ SDE Karras」固定でやっていましたが、他のサンプラーも使ってみて良さそうなら検証記事をあげます。(気になる名前のサンプラーもあります)
new samplers: Restart, DPM++ 2M SDE Exponential, DPM++ 2M SDE Heun, DPM++ 2M SDE Heun Karras, DPM++ 2M SDE Heun Exponential, DPM++ 3M SDE, DPM++ 3M SDE Karras, DPM++ 3M SDE Exponential (#12300, #12519, #12542)
https://github.com/AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui/releases/tag/v1.6.0
UIの見た目変更
UIが整理されて洗練されてきました。LoRAなどのExtra Networksを開く「花札(芒に月)」に似たアイコンはなくなって、Generationと一緒のタグにまとめられました。人に教えるときに「花札ボタンを押してください」というのが通用しなくなりました。アップデートしたらLoRAのボタンがなくなったと焦らないようにしてください。

その他
他にもVAEをチェックポイントごとに設定できたり、生成時に使わなかったLoRAを表示してくれたり、良く使うサンプラーを上に表示してくれたり、細かいところにも手が届くいろいろなアプデがされているようです。詳しくは公式のリリースを確認していただけたらと思います。
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